出てこい!主役 出てこい!市民 行政からの熱烈ラブレター
今年度も私、娘の通う中学でPTAの広報誌を作る役員をすることになりました。小学校も含めると、5回目の広報委員です。毎回、メンバーも違い、取り組み方も違うのですが、こうした公的意味合いの強い媒体は、ともすると毎年ほぼ同じ題材、同じような内容…になりがち。そして、こうしたマンネリ化は、ともすると紙媒体として必要か⁉といった議論にまで発展します。今年度もいよいよ子どもの行事の取材が始まり、さて、どうしたものか…と考えていた時に目にしたのが、栃木県の『広報なすしおばら』(平成28年5月5日号)の「届け 皆さんへの広報誌(ラブレター)」という見出しです。
広報誌=ラブレターとは、これまた強烈な…。それにも増して「広報誌」とはどうあるべきか、どう作るのか、といったことに、なんと8ページものスペースを割いていることに驚かされました。かつてこんなに広報誌自ら広報誌を語ること、ひいては市民がそれを知る機会があったでしょうか。
最終ページの奥付けを見て、この思い切りの良さ、熱い思いの理由は、発行・編集がシティプロモーション課というところにあるのだと気がつきました。『広報なすしおばら』は、市民に情報をお知らせする広報誌なのではなく、プロモーションのための広報誌、地方創生のためのツールとしてとらえている、というわけです。わがPTAの広報誌でいえば、さしずめ入試広報課が担当しているようなものなのですね。
面白いのが、学校の入学案内資料が、学校の紹介や入学後の生活を写真や読み物で紹介している「入学案内」と、受験情報を集約した「入試要項」に分かれているように、那須塩原市の広報誌も「読み物特集版」と「お知らせガイド版」に分かれていること。「読み物特集版」はフルカラーで写真を多めに使用していて、街の話題や市民投稿型記事を載せている一方で、「お知らせガイド版」は2色刷りで、行政情報を集約掲載。こうすることで、市民がよりわが街を好きになる読み物と、情報の検索性を両立させているというわけです。
さてさて、ラブレターに返事はつきもの。この広報誌というラブレターを受け取った市民の気持ちはどうなのか、気になるところです。相手方の主役、市民から、どんなレスポンスがあるのか―。次号の広報誌にきっと、その答えが載っていることでしょう。