【働く女性の注目記事】後引く怖さ!怪談をテーマにした夜の朗読劇
舞台は閉館後の夜の図書館、朗読は金沢で活動する劇団110SHOW、そしてサウンドアーティストKeiko Murakamiが効果音を奏でる……。図書館内の階段を客席に、書架の間のスペースを舞台に「怪談」をテーマにした朗読劇が催されます。対象は小学生以上となっていますが、演目内容は全く子どもに寄せていません。マイ広報紙にある演目によると半村良作「蟹婆」、岩井志麻子作、寺門孝之絵「おんなのしろいあし」、中島らも作「『青』を売るお店」ほかとあります。いわゆる怪談話だけではないところにセンスの良さと演じ手のこだわりを感じます。
特に興味をひかれた演目は、半村良作の能登怪異端からの1作品「蟹婆」です。能登弁で綴られた語りにグッと引き込まれ能登の情景が浮かびます。地元に暮らす子ども達は、おじいちゃん・おばあちゃんの話し言葉を思い浮かべるかもしれません。本で読んでもゾクリと背中が冷えるような結びです。
今回の朗読劇は、お化けのようにわかりやすい怖さだけではありません。目に見えないものの怖さ、人間の持つ深い闇、過ぎてしまった時間に思いを残す哀しさなど、少し難しくてすぐには理解できないものもあるでしょう。それでも、記憶のどこかに引っ掛かって心に残ることと思います。その道のプロが真剣に演出する恐怖と向き合う時間です。雰囲気を想像するだけで怖い! でも、見たい、聞きたい! 物語の持つ世界観にどっぷり浸れる素晴らしい体験になるでしょう。