高校生も、まちづくりの主役に!
私は、神奈川県横須賀市に生まれ、高校までそこで生活していました。昨年はみんな50歳を迎えるということで、高校の同級生が集まり大規模な同窓会がおこなわれました。せっかくの同窓会だったのですが、会場は横須賀市ではなく横浜市。それも無理ありません。多くの高校時代の同級生は横須賀市を離れており、東京と横須賀市の間ということで、横浜市が選ばれたのです。
東京から電車で1時間ちょっとの横須賀市でさえ、この有様です。地方では、事情はもっと深刻でしょう。東京は、磁石のように人を引きつけています。日本の人口約1億3000万人に対し、東京都のおおよその人口は1400万人。日本の約1割以上の人が東京都に住んでいることになるのです。
青森県むつ市の広報紙『広報むつ 平成29年3月号』では、高校生対象に地域への参画を促すためのさまざまな取り組みが紹介されていました。高校卒業後、進学や就職でふるさとを離れるケースが多いことから、ふるさとを離れる前の、進路を見極める大切な時期である高校時代に地域と時代を見つめる機会を…と考えられたようです。
「コミュニティデザイン出張授業」から始まり、まちづくりに関するアイデアを募集する「高校生元気ふるさとアイデア選挙」、「アイデアの一部実現」といった一連の活動の中から、将来地域の未来を切り拓く人材が増えることを目指していくという、この取り組み。なんとも壮大な、それでいて楽しそうな企画です。
そういえば…。高校を卒業し、大学生になった私は、夏休みに家の近所の塾で働こうと、面接にいきました。すると、その塾の先生は「きみは、地元が育んだ貴重な宝。きみの力をぜひ地域に還元してほしい」と、二つ返事で採用してくださいました。それまで自分が地域の一部であるなんて考えたこともありませんでしたし、宝なんて言われたこともなんだかうれしく、張り切って働いたのを覚えています。
青年は必要とされて大人になる、とは確かスタンダールの言葉だったと思います。自分を育んでくれた地域に必要とされていると感じたむつ市の高校生たちは、何を考え、どのような大人になるのでしょうか。楽しみです。